仮面ライダーXでの視聴率低下に関する考察

「仮面ライダーX」での視聴率低下について書いてみようと思います。

仮面ライダーシリーズは第1作「仮面ライダー」が1971年4月に放送が開始されています。最初の旧1号ライダー編は視聴率が好調とはいきませんでしたが人気番組への手応えはあったようです。

これは以前のブログにも書きました。

仮面ライダーは2号ライダー時、主役が佐々木剛の時に社会現象に発展するほどの人気番組に成長します。その後再び1号ライダー、主役を藤岡弘(名称当時、以下同)に変更、その後も高視聴率を維持します。

仮面ライダーはその後1973年2月に第2作「仮面ライダーV3」の放送を開始します。この番組も高視聴率を記録しました。平均視聴率は現在でも仮面ライダーシリーズでは最高記録を保持しています。

問題は仮面ライダーシリーズ第3作「仮面ライダーX」です。

まず、その前に前作「仮面ライダーV3」についての説明をしておこうと思います。「仮面ライダーV3」の最大の特徴は「仮面ライダー」のそのまま続きだったことです。「仮面ライダー」最終回第98話では1号、2号はゲルショッカーを壊滅して世界に平和が戻りました。

ところが「仮面ライダーV3」第1話では死んだと思われていたゲルショッカー首領が新たな組織デストロンを結成。世界征服に邪魔な仮面ライダー1号、2号の抹殺を図ります。それを救出して瀕死の重傷を負った風見志郎の命を助けるためライダー1号、2号により改造手術を受け仮面ライダーV3としてよみがえりデストロンとの戦いが始まるのです。

ちなみに「仮面ライダーV3」第1話ではおやっさんこと立花藤兵衛もそのまま「仮面ライダー」最終回から引き続き出演しています。

番組は新しくなりましたが、作品としては完全に続きだったのです。「仮面ライダー」のスタッフは「仮面ライダー」の第99話を制作したら「仮面ライダーV3」の第1話として放送された。このような感覚だったそうです。

これは「仮面ライダー」の最終回と「仮面ライダーV3」第1話を続けて見れば誰にでも理解できることです。「仮面ライダーV3」は視聴率に多少の多少の振れはありましたが高視聴率で番組を終了します。これには番組後半のテコ入れに登場させたライダーマンの好影響もありました。

特にデストロン最後の大幹部、ヨロイ元帥とライダーマンの因縁は視聴者に強い影響を与えました。ちなみにヨロイ元帥を演じた中村文弥はライダー2号開始当時メインで仮面ライダーのスーツアクターを務めていたことでも有名です。

「仮面ライダーV3」は視聴率好調のまま最終回を迎えます。

ところが、これに頭を悩ませたのが番組スタッフです。

ライダー2号時で人気番組に成長させ、その流れで「仮面ライダーV3」を制作していたのが作品内容をリセットしなければならなくなったからです。

この時「仮面ライダーV3」の後番組にはライダーマンを主役とする案もあったそうです。これはどこまで話が進んでいたのかは分かりませんが番組の流れを継続させたいスタッフからすれば当然のアイディアだったと考えます。

しかし、この話はライダーマン、結城丈二を演じていた山口暁が「電人ザボーガー」の主役に決まったこともあり流れることになります。これに関しては、そもそもライダーマンを主役にするという話自体がそれほど真剣に検討されていなかったという説もあります。

これに関しては「諸説あり?」と言ったところでしょうか?

ちなみに「仮面ライダーV3」が終了したのはスポンサーの玩具メーカーが新しい玩具を販売したいということが最大の理由です。つまり「仮面ライダーV3」は玩具メーカーのビジネスのために終了した最初の番組のひとつということです。

現在は子供向け特撮番組は玩具メーカーが玩具を売るために制作していることは、このブログを読まれている方なら誰でも知っていることだと考えます。

とにかく仮面ライダーのスタッフは新しい仮面ライダーの番組を制作しなければならない状況になりました。

これが「仮面ライダーX」なのです。

この番組は1974年2月に放送が開始されます。

この時まったくいちから作品を作らなくなったため「仮面ライダーX」は過去の仮面ライダーとはかなり違った内容にしています。何と言っても変身ポーズがなかったのです。主人公が「セッタップ」と叫びベルトのレッドアイザーとパーフェクターを装着することにより仮面ライダーXに変身するのです。もっともこれは途中からライダーV3によりマーキュリー回路を装着され「大変身」のかけ声とともに変身する変身ポーズが採用されます。

これ以外にも新たな試みはされました。主人公、神敬介の恋人、水城涼子の登場。その涼子と瓜二つの霧子という謎の女性の登場。「特に霧子は何者なのか涼子との関係は?」というのが初期のストリーの中心になっていました。

ちなみに水城涼子、霧子を演じた 美山尚子と主人公、神敬介の速水亮は結婚されています。

前作「仮面ライダーV3」が子供にも分かりやすい明快なヒーロー劇であったのに対し「仮面ライダーX」はかなり大人向けのストーリー展開だったのです。

当然ですが、このストーリーは視聴者である子供には受け入れられず。途中で路線変更を行っています。

これ以外にも怪人が非常に特徴的でした。初期は神話怪人と呼ばれる怪人でギリシャ神話、ローマ神話の神の名前を持つ怪人が登場します。第1話はネプチューンでした。

この怪人も前作「仮面ライダーV3」とは明らかに違う路線でした。ただ、これも途中で路線変更が行われ悪人軍団と呼ばれる怪人に変更されています。最初に登場したのはジンギスカンコンドルでした。神話怪人も悪人怪人もそれまでの仮面ライダーシリーズの怪人とは明らかに一線を画す斬新なデザイン、ネーミングであったのは事実です。今見ると非常に魅力的な怪人なのですが当時の子供には受けなかったようです。

美山尚子の降板、路線変更で登場したのがアポロガイストです。

仮面ライダーシリーズでも屈指の人気悪役キャラクターです。現在でも仮面ライダーシリーズの映画に登場しているくらいなので、その人気の高さが理解できると思います。

さらにアポロガイストには人間体も登場します。打田康比古が演じていました。

この方は現在は俳優を辞めているのですが是非もう一度アポロガイストを演じてもらいたいと個人的には思っています。

現在でも人気の高いキャラクターなのですが視聴率向上には繋がらなかったようです。

これ以外にも仮面ライダーシリーズでも屈指の人気悪役キャラクターが登場しています。

キングダークです。このキャラクターも現在でも仮面ライダーシリーズの映画に登場しているくらいなので、その人気の高さが理解できると思います。

こうやって「仮面ライダーX」という作品を考えてみると。何故ヒットしなかったのだろう?

こう言わざるを得ません。

まず主人公のデザインですが今見ても格好良く、歴代仮面ライダーの中でも格好良いデザインに入るのではないでしょうか?

さらにライドルという専用武器を持っています。これが斬新で非常にカッコイイものです。

上記していますがアポロガイスト、キングダークというシリーズ屈指の人気キャラクターの登場もあります。

それにも関わらず第3クールの途中、第35話で終了しています。

「仮面ライダーX」で視聴率が低下した最大の理由は初期の大人向け路線の不振ではないでしょうか?

「仮面ライダーX」という作品の視聴率について考えるとこれ以外の意見は出てこないと考えます。もし、この考えに異論がある方がいらっしゃったらコメントをお願いします。

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