伊藤詩織事件5

伊藤詩織事件の5回目を書いてみました。

重要なことですので今回も書きますが私は山口敬之とは面識がありません。当然ですが山口敬之を擁護するためにこのようなブログを書いているわけではないということです。

逮捕状に関する疑問

逮捕状を発行する要件を満たしていません

続いての疑問が逮捕状です。

逮捕状に関しては2019年の池袋の事故でも話題になっていますが逮捕とは刑罰ではありません。池袋の事故で多くの方が知っていると思いますが逮捕とは身柄を拘束して取り調べる必要がある場合に行われる捜査手段です。

逮捕する場合は裁判所が逮捕状を発行します。

あくまで一般論ですが逮捕状を発行する要件は下記の通りです。

①逃亡の可能性がある。

②証拠隠滅の可能性がある。

③複数犯の場合、口裏を合わせるのを防ぐ。

本事件の場合③は関係ありません。

問題は①②です。

①に関しては山口敬之は当時TBSの社員です。その後退社してフリージャーナリストに転身するのですが逃亡した場合これだけの社会的地位を失うことになります。

同時に警察、検察に対する心象も悪くなります。

事実、山口敬之は逃亡していません。

つまり①で逮捕する理由がありません。

②ですが犯罪の被害を証明するのは被害者の責任です。当然ですがこれに警察の捜査が加わります。しかし「ブラックボックス」を読む限りでは山口敬之には隠滅するべき証拠が存在しません。

つまり②で逮捕する理由もありません。

要するに逮捕状を発行する理由が無いのです。

逮捕状は発行されていたのか?

逮捕予定を警察が被害者に教えることは原則ありません

ところが、この事件では逮捕状が発行されたが当時の警視庁刑事部長、中村格が逮捕当日にストップをかけたと188、189頁(文庫190頁)に記述があります。しかし、同書を読み進めるとこれすら疑問を持たざるを得ません。

 A氏は逮捕が取り止めになった当日、「ストップを掛けたのは警視庁のトップ」と言ったが、捜査一課と二課は刑事部に所属しており、その上には刑事部長がいる。「トップ」というのは、「刑事部長」を指すのではないか、という情報を私があるジャーナリストから聞いたのは、二〇一五年の秋頃のことだった。

当時の刑事部長は、中村格氏だった。A氏によると、逮捕当日、その後の聴取に備え、捜査資料はすべて高輪署に揃えていたという。それなら、中村氏は何を見て、どのように逮捕の中止を判断したのだろうか。

132頁(文庫134頁)

山口氏の帰国に合わせ、成田空港で逮捕する、という連絡が入ったのは、六月四日、ドイツに滞在中のことだった。「逮捕する」という電話の言葉は、おかしな夢の中で聞いているような気がして、まったく現実味を感じることができなかった。

「八日の月曜日にアメリカから帰国します。入国してきたところを空港で逮捕する事になりました」

この記述からわかることは、この事件以降八日が月曜日なのは六月だけです。

つまり逮捕予定は六月八日です。

これも2015年のカレンダーで確認しました。

同時に新たな疑問が出てきます。

①何故このような状況で伊藤詩織はドイツに行っているのか?

②逮捕する時、事前に被害者に対して警察から連絡が行くのか?

①ですが伊藤詩織は事件当時、ロイター通信の日本支社でインターンとして働いています。インターン開始時は無給。しかし、事件当時は日当が出るようになっていた。さらに、これはニューヨークでの生活が経済的に苦しくなったため両親に送金をお願いした関係で日本に帰っているのです。

このことは39、40頁(文庫43、44頁)に記述があります。

 帰国してロイターで働く

インターンシップと学業で、さすがにバイトをする時間もなくなってしまった。また、それまでパートナーと二人で暮らしていたアパートを離れ、何人かでシェアできるアパートを新しく見つけたが、ニューヨークでの一人暮らしは、今まで以上にコストがかかった。

これまで何とか自分で賄ってきた学生生活だったが、ここで両親に送金を頼むことになってしまった。そこで私の困窮は、両親の知るところとなった。両親はびっくりし、すぐに帰国するようにという命令が下った。

仕方がない。我を通すすべはなかった。一度帰国して、もう一度何とか出口を見つける努力をしようと心に決め、私は日本に帰った。

翌年の二月から、私はロイター通信の日本支社、トムソン・ロイター・ジャパンとインターン契約を結んで働き始めた。

つまり伊藤詩織は、お金が無くて帰国して満足な収入も無い状態です。

この状況でドイツに行き滞在するお金はどこから出ているのでしょうか?

伊藤詩織は山口敬之との事件前から仕事を持っています

この件では131頁(文庫134頁)

 私はその頃、少しずつ仕事を再開できることができるようになり、ドイツで仕事をする機会を得た。

この記述が事実であれば伊藤詩織は山口敬之との事件の前から、職業は不明ですが仕事をしていたことになります。

そうなるとロイターでインターンをする必要がなくなります。仕事を持っているのですから当然です。この矛盾を説明する内容はこの本には書いてありません。

この仕事はジャーナリストではありません

さらにこの仕事はジャーナリストではありません。伊藤詩織の再開した仕事がジャーナリストであれば、再度書きますがロイターでインターンをする必要はなくなります。これに加えて山口敬之に就職の依頼をする必要もなくなるからです。

つまり伊藤詩織は一度ジャーナリストになるという目標を捨て、違う職業に付いているのです。

人生で大きな目標を持っていてもそれが叶わなくて違う道に進むことは決して珍しいことではありません。

そうであれば一度ジャーナリストになるという目標を捨て、違う職業に付いた伊藤詩織は何故その仕事を辞めて再びジャーナリストになろうとしたのでしょうか?

それと仕事をしていたのであればニューヨークの大学へ行きジャーナリズムと写真を学ぶ必要もありません。

このことについて説明をしている記述は「ブラックボックス 」にはありません。

伊藤詩織はドイツの就労ビザを取得していません

問題はこれだけではありません。

伊藤詩織は四月三十日に高輪署に被害届と告訴状を提出しています。これは97頁(文庫100頁)に記述があります。

 四月三十日、高輪署に出向き、被害届と告訴状を提出した。

つまり伊藤詩織は被害届と告訴状を提出して僅か39日後にはドイツで仕事をしているのです。

ドイツで仕事をしているので当然ですがドイツの就労ビザが必要です。

ドイツの就労ビザはドイツ入国後に取得できます。

ドイツ連邦共和国大使館法務領事課

1. 入国後の長期滞在許可の申請・取得の手順

iii. 滞在に就労を伴う場合、労働局(Arbeitsagentur)の発行する労働許可(Arbeitsgenehmigung) が必要になります。 個人で手続きする場合、管轄する外国人局(Ausländerbehörde)の窓口を通して、労働許可の申 請をしますが、通常、この手続きには6~8週間を要します。 現地の雇用主、支店、駐在事務所といった代理人による手続きの場合、労働局(Arbeitsagentur) が申請の窓口となります。代理人による申請手続が可能であれば、代行してもらうことで労働許可 取得にかかる時間の短縮が考えられますが、代理手続の可否や要件についてはあらかじめ管轄の労 働局に確認してください。 いずれにしても、有効な滞在許可と労働許可の両方の交付を受けるまでは一切の就労活動はできま せんのでご注意ください。研修の場合であっても、就労と同様に労働許可が必要となる場合があり ますので、事前に管轄の労働局に研修先の会社等を通して確認をしてください。

このドイツ連邦共和国大使館法務領事課のサイトを読めば理解できますが、労働に必要な労働許可を得るには6~8週間を要します。要するに労働許可を申請してから42日から56日かかるのです。

伊藤詩織は5月13日以降も日本に滞在しています

さらに123、124頁(文庫125、126頁)

「素直に受け取ってもらえないかもしれないが、私はあなたの事を心配してます。できるサポートは何でもするから、具体的に言って欲しいという気持ちにも変わりはありません。」Y2015-5-13 10:37

これでメールはすべてだ。

 

鮨屋の不可解な証言

捜査は進展しているようだった。鮨屋での聞き込みを終えたA氏に内容を聞いてみると、「びっくりすると思いますよ。二人で一升近く飲んだそうです。簡単なつまみと太巻き以外は何も頼んでおらず、ほとんどお酒だけ。これならどんなにお酒に強い人でも酔っぱらいます」

と言われ、私は驚愕した。本当にそんなに飲んだのだろうか。記憶がないのでわからないが、自分ではとても信じられない。

伊藤詩織がドイツに渡って就労ビザを取得するには期間がありません

この記述を読めば伊藤詩織は五月十三日以降もまだ日本に滞在していることが確認できます。

さらに重要なのは、この時点ではドイツの仕事の件についての話が出ていません。

仮に五月十四日にドイツに行ったとしても捜査員A氏から連絡があった六月四日は、まだ22日しか経っていません。

つまりドイツの就労ビザが取得できていないのです。伊藤詩織はドイツで違法就労をしていたと堂々と「ブラックボックス」に書いているのです。

重要なことですので、このブログを読まれた方は私の意見を鵜呑みにしないでご自身で「ブラックボックス」を読んで判断をしてください。

長くなったので

つづく!

伊藤詩織事件6へ続く

伊藤詩織事件4に戻る

伊藤詩織事件1に戻る

下記リンクで伊藤詩織事件を全て表示できるようにしています。