「マックス号応答せよ」脚本の致命的ミス

「ウルトラセブン」第4話「マックス号応答せよ」これは同作中でも屈指の名作と言われています。

ただこのエピソードには致命的な欠点があります。

これは1980年代にレーザーディスクを買って見た時から考えていたことです。

同作はウルトラ警備隊の最新鋭艦マックス号にアマギ、ソガの両隊員が乗り込み調査に行くのですが何者かの手により宇宙空間へ船ごと拉致されます。

さらにアマギ、ソガの両隊員をポインターで送って行ったモロボシダンは基地への帰りに若い女性の車のエンジンを見ている時に後頭部を鈍器で殴られにウルトラアイを奪われます。

ウルトラホーク2号で宇宙に調査に行ったフルハシ隊員はマックス号を発見するもゴドラ星人により拘束されゴドラ星人が化けた偽物のフルハシ隊員が基地戻ります。そして基地の原子炉に時限爆弾をセットするのですがモロボシダンに見つかり正体を表します。しかしモロボシダンはゴドラ星人のカプセルに閉じ込められ脱出できなくなります。

この時ゴドラ星人は仕掛けた時限爆弾は後15分で爆発すると言います。

さらにマックス号内にいる別のゴドラ星人が拘束したアマギ、ソガの両隊員に「基地に時限爆弾をセットした後15分で爆発する」と言います。これを基地に知らせるために宇宙空間に拉致されたマック号内部では観測用ロケットを使用して地球に帰還をしようとします。観測用ロケットは1人乗りなのでアマギ隊員が乗り込みます。

しかし発射直前にゴドラ星人の妨害に遭いますが無事軌道に乗り帰還。ウルトラ警備隊の基地に収容されます。

ここまで読んだ方は気づいていると思いますが、この時点で余裕で15分は経過しています。

この後ウルトラアイを奪った謎の女性がモロボシダンの前に現れます。

この女性が拾ったペンダントにモロボシダンの発射したレーザー銃が当たり拘束していたカプセルが消滅します。

さらに、この女性と格闘になり、この格闘中にウルトラアイが落ちてウルトラアイを取り戻したモロボシダンはウルトラセブンに変身するのです。

この若い女性の正体を表しますゴドラ星人です。このゴドラ星人を倒し、その後セブンは宇宙空間のマックス号へ行きます。そしてマック号内のゴドラ星人を全員倒してウルトラ警備隊の隊員を救出して物語は幕を閉じます。

このブログを読めば理解できると考えますがこの脚本の致命的な欠点はまず時限爆弾が15分後に爆発するという設定です。僅か15分間の間にこれだけのことはできません。

特にマックス号から観測用ロケットでの地球の帰還は話に無理がありすぎます。

ちなみにアマギ隊員は救助された時意識はありませんでした。基地内で意識を取り戻すシーンがあります。そして15分後に爆発する時限爆弾が仕掛けられていると隊長に話をするのです。

とっくの昔に爆発していければなりません。

これに関してはせめて3時間程度にしておけば話は成立したかもしれませんが?

問題はこれだけではありません。若い女性に化けたゴドラ星人がモロボシダンの前に現れることです。

この時この若い女性に化けたゴドラ星人が現れなければモロボシダンは拘束されているカプセルからの脱出はできませんでした。さらにウルトラアイを取り戻すこともできず、当然ウルトラセブンに変身することもできなかったのです。

なんのためにこの若い女性に化けたゴドラ星人はノコノコと基地内のモロボシダンの前に現れたのでしょうか?

この間抜けなゴドラ星人がいなければウルトラ警備隊の基地は爆破されていました。

さらにウルトラセブンも基地と共に葬り去られていました。

本当に何がしたかったのでしょうか?

さらになぜこのような脚本を書いたのでしょうか?

とにかく穴だらけの脚本なのです。

まずなんといっても時限爆弾が15分で爆発。これが大問題です。

上記していますが時限爆弾が3時間程度で爆発する設定であれば話は成立していたのではないでしょうか?

それが15分では「それはないだろう?」と言いたくなりますし、そうなります。

なぜ15分という話を成立させるのに不可能な時間設定をしたのでしょうか?

さらにこの脚本が通ってしまっていることも問題です。

このエピソードの脚本家は山田正弘と金城哲夫です。

脚本を通して読めばこの15分の問題に気が付いていなければなりません。さらにこのエピソードの監督は満田かずほです。監督が脚本を読めばこの問題に気が付かないはずがありません。これは撮影スタッフにも言えます。

脚本家、監督、撮影スタッフ全員がこの15分の問題に気が付いていないのです。

もしかするとこの時スタッフの間で気の緩みでもあったのでしょうか?

それだけ致命的なミスです。

これに加えて作戦を失敗に終わらせるためのみに登場した若い女性に化けたゴドラ星人の問題もあります。

「ウルトラセブン」ではウルトラアイが奪われるストーリーがありますが現在考えるとこれは必要はなかったのではないでしょうか?

そもそもですがウルトラアイを奪ったら捨ててしまばいいだけです。

そうすればウルトラセブンは変身が不可能になります。

ウルトラアイを奪われて取り返すストーリーはスリリングですが同時に間抜けな展開になりかねません。はっきり言えばストーリーに無理が発生します。

事実「ウルトラセブン」以降のウルトラマンシリーズでは変身アイテムが奪われるというストーリーは記憶にありません。

若い女性に化けたゴドラ星人が現れなければ作戦は成功していました。それをぶち壊すために登場しているのです。

これは奪われたウルトラアイを取り戻す必要があるために登場させたとしか考えられません。

こうやって「マックス号応答せよ」の脚本の問題を考えてみると変身アイテムのウルトラアイが奪われるストーリーに無理があることがわかります。

「マックス号応答せよ」はテンポが良くて特にセブンに変身後の展開はスピーディーで見応えがるのですが時限爆弾の15分の問題とウルトラアイを取り返させるために登場したゴドラ星人がストーリーに無理を生じさせているのでこれを上手く解消していればより面白かったのですが?

特に時限爆弾の15分の設定は基本的なミスだけに悔やまれます。

放送から50年以上経った現在このようなブログを書くことも無理があると言われればそれまでですが?

気になる方はウルトラサブスクに加入するかDVD等で視聴してください。

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