WWEによるインターコンチネンタル王座の商標登録問題について

いつまでこのテーマで書くんだよ?

この意見が聞こえてきそうですが私は書きます。

今年、新日本プロレスがIWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタルこの2つのベルト統一してIWGP世界ヘビーのベルトを新設しましたが、これには大人の事情があってのこととも言われています。

それはアメリカのWWEがインターコンチネンタル王座(Inter Continental Championship)を商標登録したためです。

ただし、これはアメリカでのことです。(カナダも含まれていると考えます。)

日本の商標登録を調べたのですが当然ですが商標登録はされていませんでした。「インターコンチネンタル」ではいくつかの商標登録はされています。

この商標登録の問題ですがWWEがAEW対策でしたことだと考えられるからです。

1990年代WWE(当時はWWF)はテッド・ターナーの経営するWCWとの企業戦争を戦っていました。WWEのマンデーナイトロウ(Monday Night Raw)に対抗してWCWはマンデーナイトロ(Monday Nitro)という番組を月曜日の同じ時間にぶつけていました。

これは1990年代アメリカ最大の視聴率競争だったことは多くの方が知っていると思います。

この企業戦争に苦戦したWWEは財務状況が悪化して当時のトップレスラーだったジ・アンダーテイカー、ショーン・マイケルズ、ブレット・ハートこの3人の誰かを解雇しなければならない事態に追い込まれます。このときWWEは前年に20年契約をしたブレット・ハートの解雇を決めます。これはブレット・ハート本人も納得してのことでした。

ただ、このとき問題になったのが当時のWWF世界ヘビー王座です。

解雇を決めたブレット・ハートがチャンピオンだったのです。

このタイトルをめぐってWWFとブレット・ハートが揉めて有名なモントリオール事件につながります。

現在のWWEからは信じられないことですが1990年代WWEは厳しい経営を余儀なくされていました。

WCWのオーナーのテッド・ターナーはとんでもない大金持ちです。

世界初のニュース専門チャンネルCNN、さらには同チャンネルを含むタイム・ワーナーグループのオーナーです。これに加えて当時はMLBアトランタ・ブレーブス、NBAアトランタ・ホークスのオーナーをしていました。申し訳ありませんがブシロードとは比べもにはならない資金力です。

この当時WWEはレスラーのリングネームを商標登録するようになります。

これは他団体に移籍してリングネームを使えなくするためです。はっきり言えば企業努力として行っているのです。

現在ハリウッドでアクション俳優をしているドウェイン・ジョンソンがThe Rockのリングネームでプロレスラーだったことも、このブログを読まれている方ならご存知でしょう。

当時レスラーがリングネームの商標登録をしていたのはダイナマイト・キッドとデービーボーイ・スミスのタッグチーム名のブリティシュ・ブルドックス(British Bulldogs)くらいでしょう。

AEWのオーナーは当然ですがとんでもない大金持ちです。

NFLカロライナ・パンサーズのオーナーです。さらにはイングランド・プレミアリーグのフラムFCのオーナーでもあります。

当然ですがWWEも1990年代の再現を危惧しています。

WCWは自前のスターを育成すことができなく崩壊して結局WWEに買収されて消滅しています。

AEWもそうなる可能性もありますが、そうならない可能性も考えなければならないのが企業戦争の現実です。

アメリカのプロレス事情を長々と書きましたがWWEがインターコンチネンタル王座(Inter Continental Championship)を商標登録したのはAEW対策と考えられます。少なくとも私はそう考えています。

現在、新日本プロレスはアメリカでも興行をしていますがメインの市場は日本です。

WWEも日本で興行をしていますがメインの市場はアメリカです。

野球のNPBとMLBが直接のライバル企業ではないように新日本プロレスとWWEも直接のライバル企業ではありません。

さらに日本ではインターコンチネンタル王座を商標登録していない関係で日本(アメリカ以外)での興行ではIWGPインターコンチネンタルのベルトは問題なくタイトルマッチができるのです。

新日本プロレスがWWEがアメリカでインターコンチネンタル王座を商標登録した関係でIWGPインターコンチネンタルのベルトが使用できなくなったと考えてもアメリカでインターコンチネンタル王座(Inter Continental Championship)の商標取り消しの申請を行っているのでしょうか?

日本の商標について調べたのですが普通名称とし定着しているものに対しては商標は認められません。インターコンチネンタル王座(Inter Continental Championship)は古くからプロレスの世界で使われ定着している名称です。日本の一般論で言えばこれは商標登録として認められません。当然ですが商標取り消しの申請をすればこれが認められ商標が取り消される可能性があります。ただアメリカの商標制度に関しては調べていません。

問題はこれだけではありません。

日本でインターコンチネンタル王座(Inter Continental Championship)を新日本が商標登録した場合WWEは日本の興行では同王座のタイトルマッチはできなくなります。商標登録できるかどうかは分かりませんが?

さらにプロレスの世界にはインターナショナル王座(Inter National Championship)というタイトルもありますが新日本プロレスが同王座を日本、アメリカ、カナダ、その他WWEの放送がされている国で商標登録をすればいいのです。インターコンチネンタルとは2番手のベルトですがインターナショナルも同じ扱いの王座として存在します。

日本のプロレスでは長らくNWAインターナショナルヘビーがトップのベルトとして日本プロレス、全日本プロレスに君臨していましたがWWE対策として有効と考えます。

事実1980年代にはWWFインターナショナル王座が存在しました。

しかも新日本プロレスが使用していました。

同タイトルは藤波辰巳と長州力との名勝負数え歌の戦いで高い権威を誇っていました。

このタイトルに関しては1984年に藤波辰巳が巻いているにも関わらず、何故か前田日明が同じ王座をM.S.Gで獲得しています。

現在でもWWEはインターコンチネンタル王座を使用していますが当然ですが同王座は一つしか存在しません。

WWEがロウ(Row)とスマックダウン(SmackDown)の2つの番組、ブランドでビジネスをしていることは、このブログを読まれている方ならご存知と思います。

これは1980年代日本のプロレスが新日本プロレスと全日本プロレスの2リーグ制で運営されていたことを参考にこの体制でビジネスをしていると言われています。

2つの異なるブランドでビジネスをすることにより両ブランドを競わせて全体のビジネス規模を大きくすることが目的です。

WWEのオーナービンス・マクマホンが1980年代、日本のプロレスビジネスを参考にして現在のビジネスを始めたことは有名な話です。

要するに2つのブランドが存在しているにも関わらず2番手のベルトインターコンチネンタルは1つしかないということです。当然ですがWWEが将来的に両ブランドに2番手のベルトを存在させるようになる可能性はあります。その時インターナショナル王座を新日本プロレスがアメリカで商標登録していればどうなるでしょうか?

インターコンチネンタルのベルトをアメリカで使用しても構わない。その代わりインターナショナル王座を使用させてくれ。

このようにWWEの側から話が持ち込まれる可能性もあります。

これ以外にもJrヘビー級王座(Junior heavyweight Championship)クルーザー級王座(Cruiserweight  Championship)を商標登録することも効果があると考えます。商標登録できるかどうかは分かりませんが?

WWEは1990年代から軽量級部門の確立に力を入れていますがプロレス文化の違いからなのか、なかなかこれができていません。WWEは日本人軽量級レスラーとの契約を積極的にしていますが、これは軽量級部門の確立をしたいためです。

はっきり言えばWWEがインターコンチネンタル王座(Inter Continental Championship)を商標登録をした。これに対して新日本プロレスは何も対抗策を講じていないのです。

現在アメリカではAEWのリングでIWGP USヘビーのタイトルマッチを行っています。しかもベルトの移動も実現しています。さらにAEWのリングで棚橋弘至の同王座への挑戦も決まっている状態です。新日本プロレスがAEWのビジネスに協力しているのです。これを考えると話は簡単にはいかないことは私も理解しています。しかし新日本プロレスは企業として行うべきことをしないで安易にIWGPヘビーとIWGPインターコンチネンタルのベルトを統一し、IWGP世界ヘビーのベルトを新設するということをしているのです。

以前のブログでも書いたのですがIWGPヘビーに世界を冠してIWGP世界ヘビーにしてIWGPインターコンチネンタルは封印すればいいだけです。

ベルトの権威と歴史は一朝一夕ににできるものではありません。

過去にIWGPヘビーのベルト巻いた選手からすれば「ふざけるな」この一言に尽きると考えます。私であればそう考えます。

今更2つのベルトを元に戻すことはできませんが新日本プロレスの関係者にはこの問題について真摯に受け止め、考える必要があります。