シャアはなぜ仮面をつけているのか?

ガンダムシリーズの第1作「機動戦士ガンダム」に登場するシャア・アズナブルは仮面をつけていますが、これは何故なのでしょうか?

放送から40年以上経った現在では様々な説が飛び交っていますが真相はいたって単純!

スポンサー、テレビ局から

富野由悠季が監督を務めるのであれば敵の幹部に仮面をつけてくれ

このリクエストがきたからです。

このリクエストがきた理由ですが1975年にNET(現テレビ朝日)で放送された「勇者ライディーン」で前半の総監督を務めたのが富野由悠季だからです。

この作品はロボットアニメですが東映と永井豪が組んで制作した「マジンガーZ」「ゲッターロボ」とは作品のテイストが違っていました。

まずロボットのデザインがそれまでになかった洗練されたデザインでした。

事実現在でも非常に人気の高いデザインのロボットです。

これにキャラクターデザインが安彦良和でした。いわゆるイケメンキャラのはしりの作品でした。

この作品は当然ですがメインの視聴者が児童層でしたが中高生、さらには大学生から大人にまで人気がありました。それも女性にです。

ロボットアニメは児童層の男児が見るのが常識の時代にこれは異例のことでした。

さらに富野由悠季が総監督を務めた前半には敵幹部にプリンス・シャーキンというキャラクターが登場しました。

このプリンス・シャーキンは非常に女性人気が高かったことで有名です。

前半でプリンス・シャーキンが死んだ時はかなりのクレームが来たそうです。それもほとんどが女性からです。

当然ですが当時の関係者はこのことを知っています。

それでスポンサー、テレビ局から

富野由悠季が監督を務めるのであれば敵の幹部に仮面をつけてくれ

このリクエストがきたのです。

要するにこれだけのことです。

それが仮面をつけている理由づけをするようになります。

「機動戦士ガンダム」が大ヒットし同時にシャア・アズナブルが人気キャラクターに成長した関係で様々な立場の方が様々の立場で理由づけをするようになり現在のように「諸説あり!」の状態になったのです。

続いてですがシャア・アズナブルの声優が池田秀一に決まった経緯ですが、これは池田秀一が「機動戦士ガンダム」のオーディションに行った時、偶然シャア・アズナブルのキャラクターデザインを見たのがきっかけです。

このキャラクターデザインを見て「これは何のキャラクターなの?」このように関係者に聞いたところ「敵の幹部です」この答えが返ってきて、それで興味を持って「この役やらせてくれない?」といった関係で、その後とんとん拍子で話がすすみ役が決まったそうです。

これは当時(劇場版が製作される前)に販売されたムック本にこのインタビューが掲載されていました。

ちなみに、この当時は池田秀一はシャア・アズナブルの声優をやったことを非常に好意的に受けとめていました。

ところが、このシャア・アズナブルがとんでもない当たり役になります。

その後どこの現場に行っても「シャアのような感じでお願いします。」これを言われ続けることになります。

池田秀一本人が「いつまでシャアと言われるんだ?」といって嫌気がさしてシャア・アズナブルのイメージ脱却を図ろうとしますがアニメの現場では、そのような本人の苦悩を知ることもなく「シャアのような感じでお願いします。」これを言われ続けます。

「シャアのような感じでお願いします。」これを言われることに対して苛立ちのピーク時に公開されたのが1988年公開の「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」です。

一時期、池田秀一はインタビューで「機動戦士ガンダム逆襲のシャア」公開当時のことをこのように語っていました。

池田秀一が「シャアのような感じでお願いします。」「シャアのような感じでお願いします。」と現場で言われ続けて苛立っていた当時、吹き替えで演じたのが刑事コロンボ「狂ったシナリオ」の犯人役フィシャー・スティーヴンス演じるアレックス・ブレイディです。

これは若手SFX映画監督でスティーブン・スピルバーグがモデルとなった役です。

これは1993年に日本テレビで放送されています。

これはシャア・アズナブルのイメージを一切感じさせない役です。

この放送を見た時「この犯人役の声シャアだよな?」このように感じたことを覚えています。

これは以前のブログでも書いたことですが声優というのは顔が映らない関係で非常に役の幅が広いのが現実です。コメディな役からシリアスな役までこなせるのが特徴です。

池田秀一も当然ですがこれができます。刑事コロンボでの犯人役を見事に演じ切っています。

興味のある方はご覧になってください。

ちなみに私は「刑事コロンボ」はブルーレイコンプリート版を持っています。

現在ではシャア・アズナブルを演じて良かったなと思っているようですが、このブログに書いたように一時期は「シャアのような感じでお願いします。」と言われるのが嫌で嫌でしょうがなかったそうです。

ウルトラセブンでモロボシダンを演じた森次浩司も一時期「いつまでウルトラセブンと言われなければならないんだ?」と役のイメージが付きすぎたことに嫌気を感じていたそうですし、スカイライダーの村上弘明も「いつまで仮面ライダーと呼ばれるんだ?」とかつて語っていました。これは私の記憶で書いていますが、村上弘明は一時期自身の出演プロフィールから「仮面ライダー」(スカイライダー)を削除していました。

これと対照的だったのがアムロ・レイを演じた古谷徹です。

古谷徹は「巨人の星」の星飛雄馬の役で有名になり星飛雄馬のイメージがいつまでも付き纏っていた当時にアムロ・レイ役を演じます。

この役を演じたことにより星飛雄馬のイメージから脱却することができ、その以後の声優、ナレーションの仕事にプラスに繋がります。

「機動戦士ガンダム」最初に見た時「この声、星飛雄馬だよな」これが話題になったことを覚えています。

仮面の話から少々脱線しましたがシャア・アズナブルが仮面をつけているのは

スポンサー、テレビ局から

富野由悠季が監督を務めるのであれば敵の幹部に仮面をつけてくれ

このリクエストが来た。

これが理由です。

以上!

特撮・アニメ