以前「仮面ライダーXでの視聴率低下に関する考察」というブログを書いたのですが、今回は続きになります。間が空き過ぎているではないかとのツッコミが入りそうですが?
まずインターネット上では同作の視聴率低下は「マジンガーZ」をはじめとするロボットアニメの人気が高まったことが原因という説がまことしやかに流れていますが、はっきりと書きます。
これはガセです
私はこの当時、児童層でリアルタイムでこの時期の特撮、アニメ作品を見ている世代だから言えることです。
「マジンガーZ」の放送は1972年12月3日~1974年9月1日です。
放送開始当時、仮面ライダーシリーズは第1作「仮面ライダー」の放送中で藤岡弘(名称当時)が主役に復帰した新1号ライダー編です。しかも1972年12月から翌年1月にかけてはシリーズでも屈指の人気を誇るショッカーライダー編の放送がされています。これは3話連続(92、93、94話)で放送されています。これには93、94話にライダー2号の佐々木剛がゲスト扱いではなく本格的に出演しています。
私の当時の記憶では、この時期に「マジンガーZ」を見ていた記憶はありません。
「マジンガーZ」の初期はまだ人気も高くなかっと思うのですが見ていた記憶はありません。
それと重要なことですが仮面ライダーシリーズの放送はNETで土曜日19:30です。
「マジンガーZ」の放送はフジテレビで日曜日19:00です。
裏番組ではありません。
つまり「マジンガーZ」の放送によって仮面ライダーシリーズの視聴率が下がった事実はありません。裏番組でない以上視聴率競争は発生しません。仮面ライダーシリーズへの視聴率での影響は一切ありません。
以前のブログにも書いていることでですが「ウルトラマンA」の裏に「変身忍者 嵐」がぶつけられました。この時両方見たい私は苦悩したことを覚えています。なんといってもこの当時は家庭用ビデオも普及していない時代だったからです。
「リアルタイムで見ている児童層の身にもなってくれ」これが本音でした。
「マジンガーZ」の放送開始によって視聴率が下がったのであればシリーズ第2作「仮面ライダーV3」で視聴率が下がっていなければならなくなります。
「仮面ライダーV3」の放送は1973年2月17日~1974年2月9日です。
これは完全に「マジンガーZ」と放送期間が重なっています。ところが「仮面ライダーV3」はシリーズ最高視聴率を現在でも誇っています。
これで「マジンガーZ」の放送によって仮面ライダーシリーズの視聴率が下がったということがガセであることは証明されます。
この時期の人気主要作品の放送期間を整理します。(アニメは青字)
帰ってきたウルトラマン | 1971年4月2日〜1972年3月31日 |
仮面ライダー | 1971年4月3日〜1973年2月10日 |
ウルトラマンA | 1972年4月7日〜1973年3月30日 |
マジンガーZ | 1972年12月3日〜1974年9月1日 |
仮面ライダーV3 | 1973年2月17日〜1974年2月9日 |
ウルトラマンタロウ | 1973年4月6日〜1974年4月5日 |
仮面ライダーX | 1974年2月16日〜1974年10月12日 |
ゲッターロボ | 1974年4月4日〜1975年5月8日 |
ウルトラマンレオ | 1974年4月12日〜1975年3月28日 |
グレートマジンガー | 1974年9月8日〜1975年9月28日 |
仮面ライダーアマゾン | 1974年10月19日〜1975年3月29日 |
勇者ライディーン | 1975年4月4日〜1976年3月26日 |
仮面ライダーストロンガー | 1975年4月5日〜1975年12月27日 |
秘密戦隊ゴレンジャー | 1975年4月5日〜1977年3月26日 |
ゲッターロボG | 1975年5月15日〜1976年3月25日 |
UFOロボ グレンダイザー | 1975年10月5日〜1977年2月27日 |
問題の「仮面ライダーX」の放送期間ですが1974年2月16日~10月19日まで、全35話という中途半端な放送回数です。これは3クール目の途中になります。
「仮面ライダーX」が35話という中途半端な回数で終了したのは視聴率低下これが最大の理由です。
「仮面ライダーX」の放送期間は「マジンガーZ」の後期放送時間と重なっていますが、これは単なる偶然に過ぎません。
「仮面ライダーX」の視聴率が下がった理由は「仮面ライダー」が旧1号編、2号ライダー編、新1号ライダー編と続き、さらに直接の続編として「仮面ライダーV3」が製作されたのに対し、この流れを一旦リセットして完全新作として「仮面ライダーX」が製作されたことが原因です。
2号ライダー編で高視聴率を記録するようになり、その流れで製作されていたシリーズを一旦終わらせたことが原因で視聴率の低下が起こっただけです。
これは「仮面ライダーXでの視聴率低下に関する考察」で書いています。
当時は現在のように早い段階から翌年の新作の準備をするといった、現在のようなシリーズを継続して製作放送していくシステムは確立されていませんでした。
番組スタッフは視聴率が良い関係でこのまま「仮面ライダーV3」の製作を継続したかったのが事実ですが、スポンサーの玩具会社が「新しい玩具を販売したい。だから新番組を製作してくれ」これで不本意ながら「仮面ライダーV3」の終了が決まります。
これに関しては「マジンガーZ」での玩具の売り上げが大きかったことが関係していると考えます。
この時はスタッフの間で「新しい仮面ライダーはどうする?」これから製作が始まったのが現実です。
キャラクターデザイン、オートバイのデザインは現在見ても非常にカッコいいのですが、ストーリーを大人向けにしたのがつまずきの始まりです。
この大人向け路線が児童層に受けが悪く視聴率が低下、路線変更をするも上向くことなくやむなく終了。次作「仮面ライダーアマゾン」に繋がるのです。
ウルトラマンシリーズも「ウルトラマンA」以降視聴率が下がりますが、これもロボットアニメとの関係はありません。
マジンガーシリーズでは第2作「グレートマジンガー」では視聴率が低下しています。さらに玩具の販売も前作程ではありませんでした。これは「主役ロボットのデザインを多少変更して強くしました。」これだけの内容の作品だったのですが、これが児童層に受けが今ひとつでだったためです。
ロボットアニメの人気が高まった関係で仮面ライダーシリーズの視聴率が低下したのであれば「グレートマジンガー」放送時に「仮面ライダーアマゾン」が視聴率を回復していなければなりません。ところがそのようなことは起こっていません。
「仮面ライダーアマゾン」の放送期間は「ゲッターロボ」と重なっていますが同作は「マジンガーZ」ほどの人気には至りませんでした。マジンガーシリーズは第3作「UFOロボ グレンダイザー」で人気を回復しますが、この時期はすでに仮面ライダーシリーズは終了している時期になります。
1970年代前半から中盤にかけて大ヒットした特撮アニメ作品は下記の通りです。
1971年開始の第2期ウルトラマンシリーズ(帰ってきたウルトラマン)
1971年開始の第1期仮面ライダーシリーズ(「仮面ライダー」「仮面ライダーV3」)
1973年開始のマジンガーシリーズ(「マジンガーZ」「UFOロボ グレンダイザー」)
1975年開始の「秘密戦隊ゴレンジャー」
この4シリーズ(作品)だけです。
スマッシュヒットした作品は多数ありますが大ヒット作となるとこの4シリーズ(作品)に限られます。
視聴率の面で比較しても放送開始が1日違いの「帰ってきたウルトラマン」と「仮面ライダー」が高視聴率を記録していますが放送開始当初は「帰ってきたウルトラマン」の方が視聴率を取っています。
しかし「仮面ライダー」の人気が高まった時期にも「帰ってきたウルトラマン」の視聴率は下がっていません。
裏番組ではないので当然のことです。
テレビ番組の視聴裏競争は裏番組でない限り発生しません。
当然ですが裏番組以外の番組が視聴率に影響することはありません。
「仮面ライダーX」の放送時間の裏番組にロボットアニメは放送されていません。
当然ですが「仮面ライダーX」の視聴率低下とロボットアニメには何の関係もありません。
当然ですがロボットアニメの人気の高まりによって「仮面ライダーX」の視聴率が低下した事実は一切ありません。
この説に関しては100%ガセです!
はっきりと断言します。
インターネット上の怪しげな情報に過ぎません。
反論のある方はコメント欄でお願いします。
同じ時間帯に放送していたならばともかく、「週に1本しか子供向け番組を見てはいけない」というようなルールは今も昔もないですからね。
これは当然といえば当然です。
原因はやはり考察中にある通り、ターゲッティングの失敗の要素が大きいと思います。
「元は大人向け番組で、のちに子供向け番組にシフトした」ので有名なのはゴジラ、ウルトラQ、クレヨンしんちゃん、そして初代仮面ライダーですが、逆のケースは本当にうまくいきませんね。
ゴジラ、仮面ライダーは定期的にこの「原点回帰としての大人向け路線」で大失敗している印象です。
しかし「ゴジラ(1984)」、「仮面ライダー1号」、「シンゴジラ」など、長い休養期間の後に、大人こそ楽しめる作品が出てくる事もあるのが特撮の面白いところでもありますが。
そういえば仮面ライダーBlackも大人向け路線で成功したといえるのかは怪しいところです。
興行的にはもちろん成功ですが、元の怪奇路線ではなく子供向け番組にシフトしてからの成功なので、純粋な大人向け路線とは呼びにくいところではあります。
ついでに言えば「元は子供向け番組だったのに、視聴者層の加齢によって大人向け作品が増えた」のはガンダムや平成ライダーでしょうか。
ウルトラマンは今でも相変わらずの低年齢層向けなので、今回のシン・ウルトラマンが楽しみで仕方ありません。
コメントの返信が遅くなり申し訳ありません。
「伊藤詩織事件」が結構負担になっています。
「仮面ライダーX」で視聴率を落としたのは本当に痛かったですね。
確かにターゲティングの失敗ですね!
同作が不人気で打ち切り。続く「アマゾン」はネットチェンジの関係で終了。
「仮面ライダーストロンガー」も視聴率が回復せずに第1期仮面ライダーシリーズは大ヒットしたにも関わらず4年9ヶ月で終了しています。
流れを打ち切って新番組を制作することの難しさをこのエピソードが証明しているのではないでしょうか?
平成令和シリーズが20年以上にも渡って途切れることなく継続しているのはこの時の経験も関係しているのではないしょうか?
現在の仮面ライダーシリーズは子供から大人まで幅広い層が楽しめる作品になっています。
「週に1本しか子供向け番組を見てはいけない」というようなルールは今も昔もないですからね。
このルールは家庭によってはありました。
当時は子供向け特撮番組は小学校高学年になったら卒業しなければならないという暗黙の了解が存在していたので堂々と特撮番組を見れるのは小学校5年生まで、6年生になったら堂々と見れなくなっていました。来年には中学生になるのだから、こんな番組は見てはいけません。
これがありました。
私はこのような世間の風潮に思いっきり反抗していた関係でこのような大人になったのです。
凱夢と申します。(楽天ブログネームです)
今日初めてこちらのサイトを知って、大変楽しく読ませて頂いております。
私は大人になってケーブルテレビで改めてXとアマゾンを視聴した折に「アマゾンと比べてXはつまらない」と感じてしまいました。(面白いつまらないは人の好みで違うとは承知していますが)
よく見ると脚本の人がV3、アマゾンの時と違ってましたね。
Xは設定はすごく良いと思いましたが、ドラマとしては退屈に感じてしまったのです。(例えばアマゾンは1話につき1回しか変身しないけれども話が面白いので最後まで視聴出来ます。)
見せ方の違いでしょうか。(例えば第1話冒頭でいきなりGODの説明のナレーションがありますが、GODを理解する為のシーンはあれだけだった様な気がします)
また第3話位で一般市民にGODが紛れ込んでいましたが、例えばアイアンキングと比べるとあまりにも呆気なく登場しては退場した様な印象があります。その人を普通の人だと信じていた隣人の人の心情とかを描いて欲しかったと感じます。
またジンステーションが第2話で早々と退場したので、カイゾーグとして毎回海底から出動するというパターンが見られなくなった事も勿体無いと思うのです。(それをやっていたら宇宙刑事シリーズばりに面白かったのでは・・)
それとも制作が急ごしらえだったのでしょうか。残念な番組に思えます。
補足させてください。
Xがつまらない理由が分かりました。
わけが解らない、つまり分かりにくいからです。
GODの目的も解りにくいですが、
カイゾーグになる筈の主人公は第1話で何の仕事をしていて、なぜ船で日本に帰って来たのかが解りにくい。
第1話のラストのナレーションは「恋人に裏切られ・・」と言ってましたが、恋人同士らしい描写があった様には見えず「今の人恋人だったの?」と唐突に思ってしまいました。
第1話で改造手術の後、けっこう長いシーンを使って主人公が説明を受けていたのに、第2話冒頭で「ケイスケは混乱していた」とかナレーションするし・・
面白く感じる為には、わけが分かる事が大事だと思う次第です。
ブログをご覧いただき、さらにコメントもしていただきありがとうございます。
私は自動層の時に両作品を含め第1期仮面ライダーシリーズを見ていたのでこの視点はありませんでした。
自動層の時期に見た場合と10代後半以降に、青年層の時期に最初に視聴したのでは見え方が全然違うことの良い例だと思います。
ただ「仮面ライダーX」の第1話では主人公が大学生で沖縄から帰ってくる事の説明はされていると考えます。
ただGODは確かにそれまでの悪の組織と違い分かりにくいのはその通りだと思います。ただ、あのナレーションだけで理解できるかと言えば少々無理があるのも事実ではないでしょうか?
ジンステーションが第2話で無くなったのは大人の事情です。これはいずれブログに書こうと思っています。脚本に関してもいずれブログに書こうと思っています。
「仮面ライダーX」は現在のようにシリーズ化のノウハウが確立されていない時代にスポンサーの関係で急遽製作が決まった作品ですので仕方ない部分はあると考えます。
「仮面ライダーアマゾン」は確かに「仮面ライダーX」に比べると分かりやすい作品になっています。
このコメントで指摘されるまで気が付きませんでした。
私は現在、新規ブログの更新をしていないのですが、これは伊藤詩織事件の関係です。
はっきり言えば自由にインターネットを利用できない状態なっています。
特撮関係のブログは夏以降に再開する予定ですので、その時はよろしくお願いします。
返信ありがとうございます。実は昨日youtubeの東映特撮チャンネルで仮面ライダーX第1話を視聴して、自分が大きな記憶違いをしていた事に気付きました。第1話では神博士、その助手の涼子、その恋人でもある神圭介との関係性が良く描かれていたようです。最後の殺陣はカッコよかったです。