以前、円谷プロダクションがアメリカ、オックスベリー社の高性能光学合成機オプチカルプリンターを購入。しかし支払い能力がなかった関係でTBSが支払いを肩代わりしたことは書きました。
この機械の購入によりTBSは円谷プロダクションに特撮番組の制作を依頼します。これがウルトラシリーズの始まりです。
当然ですが、このウルトラシリーズの開始により円谷プロダクション制作の特撮番組はTBSのコンテンツとなったのです。
ただ、この時期円谷プロダクションはかなりの問題を起こしています。それは「ミラーマン」のフジテレビでの放送です。それも時間帯が時間帯です。日曜日の19:00からです。
これは「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」が放送されていた時間帯でタケダ製薬が一社提供で子供向け番組を放送していたタケダアワーと呼ばれる放送枠の裏番組です。
同枠での放送番組で有名なのは「月光仮面」「柔道一直線」「キャプテンウルトラ」「怪奇大作戦」(円谷プロダクション制作)等が挙げれます。
円谷プロダクションはオプチカルプリンターの購入でTBSに恩がある立場です。
ところがタケダアワーにフジテレビ放送でライバル番組をぶつけることは恩を仇で返すようなものです。
当然ですが、これはTBSの怒りを買います。
後年「ウルトラマン80」の失敗をめぐってTBSと円谷プロダクションは対立をします。これももしかしたら「ミラーマン」の放送も関係しているのかもしれません。
私はプロレスファンでプロレス関係のブログも書いていますが力道山が設立した日本プロレスは力道山の没後に大問題を起こします。
それはNET(現テレビ朝日)にも放送をさせてしまったのです。
力道山が日本プロレスを設立してから定期放送をしていたのは日本テレビです。さらにはスポンサーは三菱電機の一社提供でした。
更に1963年12月に力道山が亡くなります。
この時三菱電機はプロレス中継を存続させるか、会議をしています。その結果、今後ともプロレス中継は継続すると発表します。
つまり日本プロレスがNETに放送をさせるのは日本テレビ、三菱電機に対する背信行為になるのです。
ちなみに日本プロレスは、このNETへの中継をきっかけとして崩壊への道をたどります。
円谷プロダクションが「ミラーマン」をフジテレビでしかも日曜日の19:00から放送されたことは明らかに問題のある行為です。
日曜19:00からのタケダアワーに「ミラーマン」をぶつけるというのは円谷プロダクションがTBSに喧嘩を売っているに等しい行為です。
これは私の推測ですがTBSの関係者はブチ切れたのではないでしょうか?
オプチカルプリオンターの支払いを肩代わりしたのはTBSです。
これがあった関係でスタートしたのが「ウルトラQ」をはじめとするウルトラシリーズです。同シリーズは現在では円谷プロダクションの最大のコンテンツとなっています。
TBSからすればオプチカルプリオンターの代金を肩代わりしたにも関わらず、円谷プロダクションはライバル番組をよりによってタケダアワーにぶつけてきたのです。
この時、円谷プロダクションの側にどのような考えがあったのかはわかりませんが常識で考えれば「タケダアワーの裏は避けよう」この意見が出ていなければおかしいです。
同時にタケダアワーの裏は何としても避けよう。そうでなければTBSに対しての裏切り行為になる。この意見が出ていなければなりません。
しつこいようですが円谷プロダクションはTBSに恩と義理がある立場なのです。
円谷プロダクションも民間企業なので経営をしていかなければなりません。つまり過去の経緯がどうであれTBS以外に番組の制作をしても、これ自体は問題ではありません。「ミラーマン」の後では日本テレビに「ファイヤーマン」NETに「ジャンボーグA」を制作しています。
この2作品は1971年に「帰ってきたウルトラマン」と「仮面ライダー」が大ヒットした関係で類似番組が多く制作されるようになり、その関係で円谷プロダクションに製作の依頼が来たものです。
「ファイヤーマン」と「ジャンボーグA」この2つの作品はTBSのライバル番組にぶつけた作品ではありません。
当然ですがTBSも特に気にすることはなかったと考えます。
話を戻しますがこれに対して「ミラーマン」は思いっきりTBSのライバル番組にぶつけています。
何回も書きますがタケダアワーにぶつけるだけでも大問題なのに、この時期タケダアワーでは特撮番組の「シルバー仮面」を放送しています。
ただ「シルバー仮面」は視聴率が低迷して2クールで終了しています。さらに路線変更を行い等身大のヒーロだったのが巨大化します。タイトルも「シルバー仮面ジャイアント」に変更されます。
しかし円谷プロダクションが同時期にタケダアワーで放送している特撮番組に「ミラーマン」をぶつけたのは紛れもない事実です。
当然ですが過去の経緯を考えた場合、これはTBSに対する背信行為と受け止められて当然の行為です。
このブログを書いていている今、何故円谷プロダクションはこのようなのことをしたのか考えてみました。
これは当時のテレビ業界の体質に関係があったのではないでしょうか?
この当時のテレビは新興メディアで現在で言えばインターネットに当たります。
当然ですが資金力は豊富に持っています。
私はこのブログでプロレスの事例を書いていますが、この当時のテレビ局は他局の人気コンテンツは札束を積んででも分取って来いというのが常識だったとのことです。
ウルトラマンシリーズで成功していた円谷プロダクションの番組を金にものを言わせて製作放送したのが「ミラーマン」の真実ではないでしょうか?
もし事実関係の間違いがありましたらコメントで指摘していだだけると幸いです。