前回のブログ「田中将大と楽天の契約は野球協約違反です」は多くの方が読んでくださっている様で非常にありがたいと感じています。
これにコメントしてくださった方もいるのですが、これは前回のブログのコメント欄を見ていただければ分かると思いますが「今回のはFA権を使って2年目に破棄、移籍する訳ではないので違反にならないのでは?今回の場合だと自由契約にしてMLBに戻るでしょうし。」このようにあります。
コメントをして頂いた方ありがとうございます。
ただ前回のブログでも指摘しているのですが田中将大は今年のシーズン終了時点でNPBでの在籍期間は8年です。
当然ですが国内FAの権利しか取得できません。
国内FAの権利しか取得できない選手に対して本人の希望があれば自由契約にします。このような契約をすることは野球協約違反になります。
今回の問題は野球協約にMLBへポスティングで移籍した選手が現役バリバリの状態でNPBに復帰することを想定していないことが最大の問題と考えます。
MLBでプレイできるにも関わらずNPBに復帰した例は上原浩治がジャイアンツに、黒田博樹がカープに復帰しただけしかありません。この2人以外はMLBでは出場機会が得られない、またはマイナーでしかプレイできない関係でNPBに復帰しています。
ただ上記2人の選手も複数年契約で本人に選択権があるという契約での復帰ではありませんでした。それに対し今回の田中将大の契約は2年契約で1年目のシーズン終了後に本人に選択権があり自由にMLBチームと契約しても構わないという内容です。
当然ですが
野球協約違反です!
前回のブログに書いていますが1月30日に田中将大が記者会見をしています。その記事を見て野球協約違反になることを確認して私はブログを書きました。
ところが現在、田中将大の記者会見を報じる記事は削除されています。正確に言えば今回の契約内容を報じた記事が削除されているのです。
私の推測ですが関係者がこの問題に気が付いて記事の削除要請をしたのだと考えています。
田中将大とこのような契約をした楽天も、おそらく外国人選手と契約する時と同じ感覚で契約をしてしまったのでしょう?
以前であれば渡邉恒雄が「野球協約違反になるから。このような契約は認められない。」このように発言して問題が表面化していると考えますが渡邉恒雄は現在94歳と高齢で健康状態の関係もあり何も発言をしていないだけと考えます。
渡邉恒雄に関しては批判的な意見の方が多いのですがこの方は非常に勉強家で発言する内容についてはしっかりと勉強したうえで発言をされています。2001年に横浜ベイスターズがマルハニチロからニッポン放送に買収されることが報道された時も渡邉恒雄が野球協約違反になることを指摘して急遽TBSが買収したことがあります。ちなみに野球協約には同じ資本の会社が2つ以上のチームを保有することを禁じています。これは2001年の野球協約で確認しました。
http://jpbpa.net/up_pdf/1284364360-838595.pdf
第19章 利害関係の禁止
第183条 (他球団の株式所有) 球団、球団の役職員および監督、コーチ、選手は直接間接を問わず他の球団の株式を所有することはできない。
当時現在もそうですがフジテレビが東京ヤクルトスワローズの株式を保有しています。これに加え2001年当時はフジテレビはニッポン放送の子会社でした。
当然ですが上記野球協約に違反するため急遽TBSが横浜ベイスターズを買収したのです。
話を田中将大と楽天の契約に戻します。
NPBには野球協約でフリーエージェント規約を定めています。
2017年度の野球協約のリンクを貼っておきます。(何故か2018年度以降の野球協約はインターネット上に公開されていません。)
http://jpbpa.net/up_pdf/1523253145-022870.pdf
第22章 フリーエージェント
第196条 (フリーエージェント)
この組織にフリーエージェント制度を設け、その詳細は「フリーエージェント規約」として
別に定める。
フリーエージェント規約(リンク)
http://jpbpa.net/up_pdf/1284364512-578244.pdf
第2条(資格取得条件)
1 選手は,入団して初めて出場選手登録された後,その日数がセントラル野球連盟及びパシフィック野球連盟の同じ年度連盟選手権試合期間中(以下 「シーズン」という。)に145日を満たし,これが8シーズンに達したと きに,国内FAとなる資格(以下「国内FA資格」という。)を取得する。 ただし,2007年以降に行われた新人選手選択会議により選択されて入団し た選手のうち,選択された当時,大学野球連盟又は日本野球連盟に所属してい た選手については,上記の8シーズンを7シーズンと読み替えるものとする。
2 選手は,入団して初めて出場選手登録された後,その日数がセントラル野 球連盟及びパシフィック野球連盟の同じシーズン中に145日を満たし,こ れが9シーズンに達したときに(ただし,それ以前に国内FAの権利を行使 していた場合を除く。),海外FAとなる資格(以下「海外FA資格」という。 国内FA資格及び海外FA資格の双方を「FA資格」と総称する。) を取得 する。
読めば理解できると思いますがNPBに在籍9年経たないと海外FAの権利は取得できません。
今シーズン終了後、田中将大が野球協約に乗っ取ってMLBへ移籍をするにはポスティングしかありません。ただ一度ポスティングで移籍した選手を再度ポスティングで移籍させることはMLBからの反発が予想されますので、これは現実的ではないと考えます。
そうなると残された方法は2021年シーズン終了後に楽天が田中将大を自由契約にすることです。
ただしこれにも問題があります。
どのような方法であっても海外FAの権利を取得していない選手に自由に海外のチームと契約しても構わない。このような契約をした場合は理由の如何を問わず野球協約違反になるからです。
私の推測ですが2021年シーズン終了時に田中将大が希望すれば楽天は自由契約にするといった内容で今回の契約は締結されていると考えています。
今年MLBがどのようなシーズンを行うかは現時点では判りませんがアメリカンフットボールのNFLが2020、2021年シーズンを全日程消化終了したことを考えるとMLBも今年は162試合、ポストシーズンゲームも全て通常通り日程を消化する可能性は高いと考えます。ただし観客の入場に関しては不透明と言わざるを得ません。
もし今年MLBが通常通りのシーズンを行った場合、来季田中将大には楽天よりも条件の良い契約がMLBから入ってくる可能性が高いと考えます。そうなった場合田中将大はMLBチームへ移籍をすると考えます。そうならない可能性もありますが希望的観測は控えたいと思います。
私がこのブログで主張したいことは
野球協約違反だから認めるな。
ではありません。
現在の野球協約が今回のような田中将大と楽天の契約を想定していない。だから野球協約を改正しろ。
これです。
今後も今回のようなケースは発生すると考えます。そのためにも野球協約を改正して今回の田中将大と楽天の契約を正式に認める必要があります。