このブログのタイトルは仮面ライダー最終回(第98話)の冒頭でゲルショッカーの罠にはまり変身不能になっていた本郷猛を助けるべく颯爽とゲルショッカーのアジトに現れた仮面ライダー2号の言ったセリフです。
最終回は主役の2人が揃わないと話にならないから、このような展開になったものと思われます。
2号、一文字隼人役の佐々木剛のスケジュールは早い段階で確保されていた様で最終回では本郷猛と行動する一文字隼人の様子がしっかり撮影されています。
2号のスケジュールに関しては1972、73年の年末年始にかけて放送された「ショッカーライダー」編でも事前にしっかり確保していたようで、こちらも本来2号はゲスト出演なのですが主役の藤岡弘(名称当時、以下同)が演じなければならい様なシーンも佐々木剛が演じています。(アンチショッカー同盟との間で首領の正体を記録したテープをめぐる攻防の場面)
最終回では無事ゲルショッカーを全滅させ終了します。
私が、このブログを書こうと思ったのは近年、初代仮面ライダーとしてメディアで藤岡弘が取り上げられることが多いことに違和感を感じているからです。 初代仮面ライダーが藤岡弘なのは事実ですが仮面ライダーが社会現象なるまでの人気番組になったのは藤岡弘が怪我で降板して佐々木剛が主役を務めていた時期です。
要するに佐々木剛が主役のライダー2号編の時に大人気番組になった。
これが現実です。ところが初代仮面ライダー、藤岡弘としてメディアが扱っています。
私はこの現状に大きな違和感と不満を持っています。
何故なら藤岡弘がオートバイ事故(左脚大腿部複雑骨折)で入院、手術、リハビリをしている時に仮面ライダーは大人気番組になっているからです。
ライダー2号編で人気が爆発した最大の理由としてあげられるのが、主役の佐々木剛が免許を持っていないと言う理由から苦し紛れに採用された変身ポーズです。これは多くの方が知っていることです。 再度書きますが仮面ライダーが人気番組としてヒットしたのは藤岡弘がオートバイ事故(左脚大腿部複雑骨折)で入院をしていた時期であり、主役を佐々木剛が務めていた、いわゆるライダー2号編の時です。
ライダー2号編の放送期間は1971年7月から1972年3月までの3クールです。ただ、2号編で主役を務めた佐々木剛は最初はこの主役のオファーを断っています。理由は知り合いの藤岡弘の役を取りたくない。ヒーロー番組で成功すると役のイメージの払拭が大変で、その後の役者業に支障をきたすことが多い。 この2つの理由で1度は主役のオファーを断っています。
ところがプロデューサーの平山享の熱心な説得により引き受けることになります。
ただし「藤岡弘が番組に復帰できるまで、彼が復帰できる状態になれば役を降りる」と言う条件をつけ、この話を引き受けます。
事実、2号編で高い視聴率を取る様になっていた為テレビ局、スポンサーは主役の再変更に反対の意見が多く出る様になったと聞いています。
視聴率が良いのに何故主役を変えるのだ?
これがテレビ局、スポンサーの本音だったのでしょう。
これは私の推測であり事実確認は取れていませんが藤岡弘を主役に復帰させるため、テレビ局、スポンサーを納得させるために行ったのが1号ライダーのデザインのフルモデチェンジなのではないでしょうか。
藤岡弘を主役に復帰させる、それに際して1号のデザインを2号よりさらにヒーロー性を強調したデザインにフルモデルチェンジさせる。
これはテレビ局、スポンサーにも美味しい話だったのではないでしょうか?
テレビ局は、これによりさらなる視聴率のアップを狙える。スポンサーは新しいおもちゃを販売することができる。
これは私の推測ですので事実に反しているのであれば根拠を提示して指摘してください。どちらにせよ1972年4月から仮面ライダーの主役は藤岡弘に再交代します。
藤岡弘に主役復帰後も仮面ライダーの人気は安定して高い視聴率を維持します。
しかし冷静に考えれば、この人気は藤岡弘の力によるものなのか?
この様な意見が出てきます。
この様に書くと藤岡弘には失礼かもしれませんが藤岡弘は、ある日突然人気番組の主役になったにすぎません。
つい先日まで病院に入院して手術とリハビリをやっていただけです。それを藤岡弘が番組に復帰できるまでと言う約束を佐々木剛が頑なに守った、ただそれだけの為に起こった事です。
現在はこの経緯を知らない方が多く、人気番組であった仮面ライダーの主役の藤岡弘の怪我が原因で藤岡弘が復帰できるまでの繋ぎとして佐々木剛を主役に起用した。
その様に思われている方が非常に多い様に感じます。ところが私はリアルタイムで仮面ライダーの放送を見ているので、その様な事情ではないことは重々承知しています。
藤岡弘の件については別の機会に書こうと考えています。
話を戻します。事実、旧1号編は大阪では視聴率をとっていましたが、東京では低視聴率でした。
第1話の視聴率は東京が8.1%です。
第1話の前日に藤岡弘の事故があった関係もあり、この時点で打ち切りの話も出ていたそうです。
ただ、当時は大阪の視聴率は東京の1週間後に出ていました。この時大阪で20.5%を記録していた為に番組続行が決まったことは多くの方がご存知かと思います。
しかし、仮面ライダーは藤岡弘の怪我なければ2クールで打ち切りになっていたと言う意見が多いのも現実です。
下記は旧1号ライダーの問題点と仮面ライダー2クール目以降の変更点です。
①最初の仮面ライダーのデザインがヒーローにふさわしくなく子供受けしなかった。そのためヒーロー色の強いデザインに変更することが決められていた。
②第2話の夜間での仮面ライダーの戦闘シーンが非常に暗く何が写っているのかわかりにくく、これが体にラインの入れるアイデアに繋がり、これも変更は決まっていた。
③主人公がショッカーにより改造人間にされてしまい、もう普通の人間に戻れない。その苦悩を前面に打ち出していた為、悩める青年科学者として描かれていた。この主人公像が子供受けしなかった為キャラクターチェンジをすることを検討されていた。
藤岡弘が怪我をしなくても上記の路線変更は行われる予定でした。ところが路線変更というのは新規の視聴者獲得が目的に行われるもので、それまで見てきた視聴者をある意味切り捨てる行為でもあります。
私は子供向けヒーロー番組で路線変更をして成功した例は仮面ライダーしか知りません。
藤岡弘が主役のまま路線変更をしていたら番組は終了していたことは間違いがないと考えます。
何しろ突然仮面ライダーのデザインが変わってしまうのです。(新1号ライダー編では、これが実現していますが?)
さらに2クール目から主人公のキャラクターが検討されていたのです。 本郷猛が悩める青年科学者から妙に陽気な兄ちゃんになっていた可能性さえあるのです。
これに関しては「BlackからRX時に南光太郎のキャラクターチェンジが行われているではないか? 」この指摘もあるかと思いますが、これは番組が新しくなっているので例外と考えます。 話を戻します。
ところが旧1号ライダーの問題をなんの問題もなく解決できる状況になったのです。
これが怪我による藤岡弘の降板、佐々木剛への主人公の変更です。
結果論で言えば、この主役交代は大成功でした。関係者は旧1号編で人気番組への手応えは掴んでいたと思います。事実第2クール以降の変更点を早くから考えていたくらいですから当然です。
しかし大きな問題がありました。それが特に上記③の問題です。
藤岡弘が主役のままでキャラクターチェンジをしていた場合、ほぼ確実に失敗していたと考えます。それだけ主人公のキャラクターチェンジは難しいものです。
ところが主人公自体が変わってしまったのです。
当然キャラクターが変わっても何の不自然もありません。
さらに言えば佐々木剛演じる一文字隼人のキャラクターは非常に視聴者である子供に受け入れられました。
普段は陽気な兄ちゃんなのですが、いざショッカーと対峙すると別人のようにドスの効いた声で戦闘シーンを演じる。このメリハリの効いた演技が視聴者である子供に非常に評判が良かったです。
事実私も大好きでした。 少々長くなってしまいましたが仮面ライダーが人気番組なったのは佐々木剛が主人公を演じていたライダー2号編の時です。
この事実を世の中が理解していないことに私は非常に強い違和感と憤りを感じます。
最後にもう一度
ライダー2号を忘れていたな
一文字ライダーは明るくひょうきんな性格で、従来の熱血ヒーロー像によく合致していたと思います。
洒落たハットにライダースーツという格好も、変身前のヒーローとしてはリアルでスタイリッシュでしたね。
本人のヒーロー性もそうですが、一文字ライダーヒットの要素は返信ポーズ以外にも上げればキリがないと思います。
・ライダーガールズ(特に山本リンダ)という意外性
・生身でショッカーと戦いライダーを助ける滝和也
・視聴者に近い目線でライダーを助ける石倉五郎
・ショッカー幹部という、視覚的にわかりやすい中ボス
・本郷ライダーによくあった血しぶきや遺体消失グロ描写などの直接的流血描写を徹底的に避けたこと
この辺りは変身特撮ヒーロージャンルのテンプレートになっているといっても過言ではありません。
この点においてライダー草創期に、一文字ライダーおよび立花レーシングクラブという設定が生み出した功績は計り知れないものがあります。
上記のように子供たちの心を鷲掴みにした一文字ライダーですが、物足りない点もあります。
佐々木氏の顔の造形については決して劣っていたとは思えませんが、しかし当時の基準でも現在の基準でも藤岡氏の美貌は格別と思います。
またこれはストレスによる脱毛が原因だそうですが、常に佐々木氏がヘルメットを着用していたのももったいないです。
藤岡氏の癖っ毛と対照的な佐々木氏のストレートヘアは、マフラーによく合うし変身ポーズにも映えるのですが、ヘルメットによって顔が見えずに少々残念だったように思えます。
道交法の問題とはいえ、ノーヘルにネクタイを締めて道路を滑走する本郷ライダーのダンディさとは差がついてしまったかもしれません。
また本郷ライダーは科学者という設定からインテリボーイとしての魅力もあり、特に常にネクタイでスーツだった初期のころの本郷ライダーは実に魅力的でした。
さて、ここからが本題です。
当時のライダーブームに乗っていた元キッズの方に伺いたいことです。
このように特にビジュアル面での大きなアドバンテージのあった本郷ライダーの存在を、当時は知っている子と知らない子に分かれていたのではないでしょうか?
今でいうところの「マウントを取る」というやつで、「今の仮面ライダーは2号で、本当は1号もいるんだぜ!」のような都市伝説じみた初代ライダーの噂が広がっていたのではないでしょうか?
あるいは新聞を読んだ親が「この番組は新人俳優が撮影中にバイク事故で怪我したんだって」のように子供に伝えたのかもしれません。
当時はインターネットはもちろんのこと、ビデオもない頃のこと、初代ライダーの噂は必然的に仮面ライダーの主役再交代劇を受け入れる土壌になったのではないでしょうか?
おそらく最初から一文字ライダーのみであれば、仮面ライダーは主役を交代することなく最終回を迎えていたことでしょう。
初代仮面ライダーは実質的な3部作品であり、その主役交代劇をスムーズにこなした事こそが、「仮面ライダー」を一過性に終わらせずシリーズ化した要因なのではないでしょうか?
コメントありがとうございます。
2号ライダー時に行った番組の路線変更が現在でも続く変身特撮ヒーロージャンルのテンプレートになっているという指摘はその通りだと考えます。
それと2号ライダー時、人気番組になったときに1号、本郷猛の存在なのですが視聴者は気にしていなかったのが現実だと考えます。
私は「仮面ライダー」は第1話から見ていて旧1号が好きだったのですが(これは現在でもそうです。)番組がヒットした当時、1号が存在することは知識で持っていたのですが気にした覚えがありません。
それと「仮面ライダー」第1話なのですが、私は放送開始当日、幼稚園でこの話を知りテレビ放送を見た記憶があります。つまり私の当時の友達はほぼ全員が「仮面ライダー」第1話を見ていて本郷猛の存在を知っていたのです。
つまり少なくとも私の周りでは「仮面ライダーはもう一人いるんだよ!」このようにマウントを取る友達はいませんでした。
それとWikipediaで調べたのですが「仮面ライダー」は東京でも旧1号編の視聴率が第2話以降2桁を取っています。これを考えると1号、本郷猛の存在は当時の視聴者である子供の間では知られていた存在であったと考えられます。
以前、東京の佐々木剛氏の経営する「バッタもん」に行って他のお客さんと話した時もそのような話題は出ませんでした。
ただ第40話で本郷猛が登場した時は狂喜乱舞した覚えがあります。
本郷猛が帰ってきたー!!!!!!!
2号ライダーで番組がヒットした時期、気にもしていなかったのは事実ですが本郷猛の存在を忘れていたわけではありませんでした。
当時の視聴者はほとんどがこのような状態であったと考えます。
>私は「仮面ライダー」は第1話から見ていて旧1号が好きだったのですが(これは現在でもそうです。)
これについては私も全面的に同意いたします。
ノーヘルにネクタイを締めてバイクを駆る本郷ライダーのカッコよさは、今の平成ライダーにはないダンディな色気を感じますね
「ノーヘルバイクを駆り、ネクタイを締めた若き科学者を主人公とした怪奇と苦悩の物語」という設定は、いずれかの時期にリブートしてほしいものです。
それこそシンゴジラ・シンウルトラマン・シンエヴァンゲリオンに続く「シン」シリーズとして、庵野監督には仮面ライダーを是非とも取り上げてほしいと思っています。
>つまり私の当時の友達はほぼ全員が「仮面ライダー」第1話を見ていて本郷猛の存在を知っていたのです。
>1号、本郷猛の存在は当時の視聴者である子供の間では知られていた存在であったと考えられます。
こちらのご返信について感謝申し上げます。
「初代仮面ライダー人気とはいったい何だったのか?」というテーマにおいて重要な証言だからです。
今後も鋭い仮面ライダー考察をお待ちしています。
コメント頂きありがとうございます。
ノーヘルは今の時代では非常に厳しいのが現実ではないでしょうか?
ただ「主人公が改造人間にされもう普通の人間に戻れない」この苦悩を描いた旧1号の魅力は現在でも色褪せないので、このような主人公を主役とする作品は見てみたいと思います。
2005年に公開された「仮面ライダー THE FIRST」がこのような作品であり同時に興行面でも成功しているにも関わらず続編の「仮面ライダー THE NEXT」で終了してしまったことは非常に残念でなりません。この作品はライダーマン、Xを主役とした作品が予定されていたのだそうですが2009年の「仮面ライダーディケイド」で、この作品に出演する予定であったキャラクターが出演してしまい。なし崩し的に終わったことが非常に残念です。
それと私も当然ですが庵野秀明には期待しています。
早くも庵野監督のシン仮面ライダーが発表されましたね。
https://www.oricon.co.jp/news/2189323/full/
そして仮面ライダーBlackもリメイクされるようで、これはなかなか楽しみです。
https://www.crank-in.net/news/88161/1
シン仮面ライダーは仮面ライダー THE FIRSTのような作品になるのでは?
それとも、この期待を裏切り、その先をいく作品になるのか?
仮面ライダーBlackはゴルゴムの名前がBlack Sunで原点回帰をした作品です。
最近はタイトルこそ仮面ライダーですが仮面ライダーでもなんでもない作品が多すぎる。これに一石を投じる作品を期待しています。
エヴァ世代であり、平成ゴジラ世代でもある私は、シンエヴァ・シンゴジラの両方に満足ができました。
情報があまり開示されていないシンウルトラマンですが、あの短いPVからでもシンゴジラ並みの期待が持てます。
偉大な初代に対するリスペクト、という庵野シンシリーズに
ライダーもきっと満足のいく出来だと確信しています。
「ご期待ください」の文字もニクい演出でしたね。
再来年が今から楽しみで仕方ありません。
私はロボットアニメは「機動戦士ガンダム」世代なのですが。
「エヴァンゲリオン」も当然ですが見ています。ただシンエヴァはまだ見ていません。
「シンウルトラマン」も当然ですが期待をしています。
ただ過度の期待をすると「???」ということもあるので現在は冷静に静観している状態です。
庵野秀明は児童層の時代に「ウルトラマン」「仮面ライダー」を見ている世代でもあり。同時に優れた映像作家でもあるので期待しても良いと考えます。
ちなみに庵野秀明の大学時代は漫画にもなっています。「アオイホノオ」という作品です。
この作品の主人公は「焔燃」で作者の島本和彦の大学時代をギャグ漫画にしたものです。
この島本和彦と庵野秀明が大覚寺代同級生だった関係でこの作品に庵野秀明も登場しています。
これで私は庵野秀明の大学時代の作品もYouTubeでいくつか見ました。
天才としか言いようがありません。
どちらにしろ楽しみです。