以前「ウルトラマンAの謎」というブログを書いたのですが、このブログにコメントをして頂いた方がいます。
ありがとうございます。
ブログ、コメントを読んで改めて考えたのですが「ウルトラマンA」の基本設定はかなり無茶苦茶な内容だと考えます。
さらに問題なのが、この基本設定が何の問題もなく通ってしまっていることです。
番組スタッフの間で「ウルトラマンA」の基本設定について検討がされていないことはまず間違いがないでしょう。
円谷プロ、TBSの看板番組であることを考えるとかなり異常だと考えます。
何故このようなことが起こったのかは以前のブログでも書いていますが、この当時円谷プロの経営は非常に杜撰で前作「帰ってきたウルトラマン」が成功して倒産の危機を回避できたことで経営問題に対して安心しきって、新番組のことを真剣に検討していなかった。そのため基本設定を脚本家の市川森一に丸投げ。そして基本設定に関しては関係者が一切検討もしなかった関係で決まったと考えて問題がないと考えます。
「ウルトラマンA」の企画が検討され始めた時期はすでに「仮面ライダー」は2号ライダー編で人気ライバル番組になっていた時期です。
「仮面ライダー」で悪の組織ショッカーが登場していた関係で異次元人ヤプールというキャラクターが誕生し、それまで自然発生で登場していた怪獣や地球侵略を狙う宇宙人が登場して主役のウルトラマンと戦っていたのが悪の組織らしきものが登場し大幹部のヤプールが超獣を送り込むという内容になったのだと考えます。
ヤプールの登場は明らかに「仮面ライダー」を意識していると考えます。
この設定が異常と考えるのは「ウルトラマンA」以降このように悪の組織が存在し(明確に悪の組織は描かれていないが)大幹部が登場するウルトラマン作品はないからです。(ウルトラギャラクシーファイトのような作品は別)
この設定はウルトラマンという作品では生かすことが厳しい、もっと言えば無理なのが現実なのではないでしょうか?
ウルトラマンAの声を当時ライバル番組であった「仮面ライダー」の悪の組織ショッカー首領を担当していた納谷五郎を起用したことは正直理解しがたいのが現実です。
声優というのは非常に役の幅が広いのが特徴だといえます。
これは顔が映らないから可能なことであると考えます。
キン肉マンを担当した神谷明が「北斗の拳」のケンシロウ。「Dr.スランプ」の則巻千兵衛を担当した内海賢二が同じ「北斗の拳」のラオウを演じたことでも分かります。
ちなみに内海賢二はハカイダーの声でも有名です。
だからと言ってライバル番組の悪の首領を主人公のウルトラマンAの声に起用することは無茶苦茶以外の何物でもありません。
「ウルトラマンA」放送当時、私はこの事実には気が付いていませんでした。
あくまでも仮定の話ですが、この事実がマスコミ報道等で世に大きく知られていたらどうなったのでしょうか?
子供番組とはいえおそらく大問題に発展していたのではないでしょうか?
当時「ウルトラマンA」の放送はTBS、「仮面ライダー」の放送はNET(現テレビ朝日)です。(当時、毎日放送はNETの系列局)
要するにライバル局が放送しているライバル番組だったのです。
この納谷五郎のキャスティングはテレビ局の関係者も気が付いていなかったのではないでしょうか?
金曜日の19時からTBSで放送している番組で主役で正義の味方の声が、土曜の19時半から放送NETで放送している番組では悪の首領です。
テレビ局の関係者が気が付いていたら「何でこんなキャスティングをしたんだぁぁぁぁ~」こうなって当然です。
続いては男女合体変身ですが、これは「成功なのか?」「失敗なのか?」これは現在でも結論は出ていません。
ただ放送当時、男女合体変身が視聴者である児童層で問題になったことはありません。
事実、私も男女合体変身には特に疑問を持っていませんでした。当然ですが友達とも話題になったこともありません。
つまり男女合体変身は何の違和感もなく視聴者に受け入れられていたのが現実です。
「ウルトラマンA」の最大の問題、失敗は男女合体変身を終わらせたことではないでしょうか?
「ウルトラマンA」で星光子を降板させることなく最後まで男女合体変身を続けてていれば、その後のウルトラマンでも採用されていた可能性はあります。
ウルトラマン以外の特撮作品(仮面ライダー、戦隊シリーズは除く)でも男女合体変身という設定は採用されていた可能性はあります。
こうして考えてみると「ウルトラマンA」で男女合体変身をやめたことが、その後の特撮作品からも男女合体変身という設定を排除したことになるのではないでしょうか?
いつもながらの鋭い考察に頭が下がります。
特撮はシリーズ内の影響だけでなく、時代軸(特に直近前後の番組)の影響が強いのですね。
またウルトラマンAはウルトラマンシリーズにおいて「テコ入れ」を明確に意識し始めた作品ですね。下記でも論じられていますが、A以降、ウルトラマンシリーズは明確に「新しいことをやらなければならない」という強迫観念と戦い続けることになりました。
https://w.atwiki.jp/aniwotawiki/pages/33577.html
ただ、従来通りの「シリアス路線」のままでは子供からもそっぽ向かれることになったのも間違いないところです。
このあたりのかじ取りは本当に難しいですね。
他で考察されていた通り、特撮ものは仮面ライダー初代以外での路線変更がうまくいった試しがないのが現実なのでしょう。
強いて言うならV3のライダーマン起用などが挙がられますが、新キャラ登場はテコ入れとは区別して考えたほうが良いかもしれません。