突撃ヒューマン

「突撃ヒューマン」この番組に関して書いてみようと思います。

まずこの番組タイトルを見てどのような番組であったのかを覚えている方はかなりマニアックな方であると言っても問題はないでしょう。

この番組は1972年10月~12月までの3ヶ月13回の放送で終わっています。

これに関しては当たり前といえば当たり前です。何と言っても「仮面ライダー」の裏番組として日本テレビがぶつけた番組なのです。

2020年の現在では考えられないことですが当時は人気子供番組の裏に子供番組をぶつけるというのは珍しいことではありませんでした。

私ごとですが「ウルトラマンA」の裏に「変身忍者嵐」をぶつけられたときは「何てことをしてくれるんだ」このように感じました。何と言ってもこの時期はまだビデオデッキの普及もしていない時代だったからです。

ちなみに日本テレビは「マジンガーZ」の裏番組に「ドラえもん」をぶつけた実績もあります。トンでもなくアグレッシブな番組編成としか言いようがありません。これは現在テレビ朝日で放送されている「ドラえもん」とは別作品です。「日本テレビ版ドラえもん」で検索すればWikipediaがあります。

1971年4月に「帰ってきたウルトラマン」「仮面ライダー」が始まり同時に視聴率を取る人気番組になった結果、雨後の筍のように子供向け特撮番組が作成されるようになったのです。

1972年のある時期には週14本の子供向け特撮番組が放送されていたそうです。これにはアニメは含まれていません。この時期は日本のテレビ局が競うように地球の平和を守っていたというジョークがあるくらいです。

当然ですが「突撃ヒューマン」も打倒「仮面ライダー」を目的に製作された作品です。

この番組の最大の特徴は公会堂のような場所での公開録画を行なってそれを放送していたことです。わかりやすく言えばヒーローのアトラクションショーを撮影、編集して放送していたのです。

このため、この番組では火薬は使えません。

当然ですが光線も打てません。

今から考えれば、これでよく「仮面ライダー」の裏にぶつけたな?

この感想しか出てきません。

ただ、この番組でもっとも有名なエピソードは主人公、岩城淳一郎に中村文弥を起用しようとしたことでしょうか?

中村文弥は「仮面ライダー」のアクションを担当していた大野剣友会のメンバーでライダー2号編開始当時メインで仮面ライダーを演じていた方として有名です。中村文弥は「仮面ライダー」の裏は仲間を裏切ることになると言ってこのオファーを断っています。

中村文弥が断った結果、夏夕介が選ばれています。

個人的には「特捜最前線」の叶刑事のイメージが強い役者さんです。残念ながらすでにお亡くなりになられています。

夏夕介は後年「特捜最前線」で藤岡弘(名称当時以下同)と共演した時期に「仮面ライダー」のせいで「突撃ヒューマン」は1クールで終わったと文句を言ったそうです。(事実確認はできていません)

ちなみにこの番組は1クールで終了したにも関わらずヒューマン2号が登場しています。西島明彦が演じていました。

この方は年配の世代では「ウルトラマンタロウ」の上野孝隊員として有名な方です。

上記していますが「突撃ヒューマン」はヒーローのアトラクションショーを撮影、編集して放送していた特殊なヒーロー番組です。この形態ではトランポリンを使用したジャンプにも制限があります。

現在考えても「仮面ライダー」の裏にぶつけるのは無謀だろ!

この意見しか出てきません。

これは私に推測なのですが、仮面ライダーと同じことをやっていても勝てない。それでこのような形態の番組になったのではないでしょうか?

ただ変身シーンは非常に良かったことを記憶しています。

これは公会堂の奥(観客席の後ろ)からヒューマンの飛び人形をステージ上へワイヤー(だったと思う)を使用して飛ばして、ステージから客席に逆光になるようにライトを照らして、その間にヒューマンがステージ上にポーズをとって現れるという演出でした。

この番組で発案された演出方法が現在でもヒーローのアトラクションショーに使用されているのではないでしょうか?

ただ、この番組は打倒「仮面ライダー」が合言葉で制作がスタートしているのですが本気で視聴率を取る気あったのか?

そう言わざるを得ません。

元々は打倒「仮面ライダー」で企画が持ち上がり制作を開始しているのですが「このような番組で勝てるわけないよな」このような感覚で番組は作成されていたのではないでしょうか?

これは私の推測なのですが、当たっていると考えて間違いがないと思います。

理由はどこをどう見ても「仮面ライダー」に勝てる要素がないからです。

それと、このブログを読まれた方には理解できると思いますが私はこの番組を見ていました。お前は「仮面ライダー」を見ないで「突撃ヒューマン」を見ていたのか?

このような突っ込みが入りそうですが、「仮面ライダー」はしっかり見ていました。

理由は、この番組は「仮面ライダー」の裏番組でしたが、それは東京での話です。当時私が住んでいた地域は民放4チャンネルでしたが「突撃ヒューマン」は東京とは違う曜日に放送されていたのです。現在では考えられないことでしょうが当時は全国ネット枠の放送時間は現在に比べ縛りが緩かったのが現実です。私の住んでいた地域のテレビ局は「仮面ライダー」の裏では視聴率が取れないだろうと判断して違う曜日に放送されていたようです。

この「突撃ヒューマン」ですが現在ではテレビ局にもビデオがないためDVD等の映像作品は販売されていません。

良くも悪くもかなり実験的な番組であったのは事実です。

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